元慶寺
インタビュー
前から気になっていたこじんまりとした小さなお寺。元慶寺。ふらっと立ち寄ってみました。門をくぐると一気にしんと静かになりました。奥まで進むと、ふたりのおじいさんが座っていました。話しかけようかどうしようか迷っていると、夫婦の方がやってきて、「お願いします」と言って一冊のノートを渡していました。おじいさんたちはそのノートに墨でなにか漢字を書き、そしてその上から赤い大きな判子をポンと押しました。奥さんが、「実はここで最後なんです」と言うと、おじいさんたちはパッと明るい顔になって
「それはそれは。御苦労さまでした。」
そう言って、やわらかい笑顔でノートを返していました。ここ元慶寺は西国三十三か所巡りのお寺のひとつ。巡礼としてたくさんの方が訪れるのだそうです。
「熱心な巡礼者も多いけど、最近は若い子や、カップルの巡礼も増えたよ。京都のいろんなお寺をまわれるからね。行き先が決まっているから、毎回のデートに困らないでしょ?」
とおじいさん。
山科の住民でもなかなか気付かない、入り組んだ場所にある元慶寺。それでも遠いところからたくさんの人が訪れる静かで優しい空気に包まれた場所でした。