やましなさん

清水台幼稚園

おすすめポイント

清水台幼稚園 園長 植村義弘さん

山科区勧修寺にある清水台幼稚園。緑に囲まれた園舎が特徴的なこの幼稚園では、園児の冒険心をくすぐる仕掛けがいくつも用意されている。そのひとつが園庭である。なんとこの幼稚園の園庭には斜面が取り入れられているのだ。
「斜面で遊ぶことで、子どもたちは転ぶんだということを覚える。こういうことって自分で学ぶしかないでしょう」と語ってくれたのは園長先生の植村義弘さん。今回は植村さんに清水台幼稚園に対する思いを伺った。

 

インタビュー

山科の子どもは野性的


―園長先生はどのような子供時代を過ごされましたか?

もともと僕は京都の南区に、中学二年まで住んでいて。 
その時代でも山科と比べれば、かなり都会やったね。 それから中学二年の三学期に引っ越してきたんやけども 。

当時の山科はど田舎。田んぼと畑しかない。 やっぱり、その中でできた友達というのは、なかなか野性的で。 

当時の友達からは、いまでもカブトムシ捕りに誘われたりね。 
その友達なんか、ハチ捕まえて、ハチのお尻から針抜いたりなんかして。 そんな遊び、いままでしたことなかったもん(笑) ビックリしたわ。 

―園長先生になられたキッカケというのは?

というか僕ね、園長先生になりたいということでもなかったんよ。
親の仕事も園長で、それを継ぐというのはちょっと抵抗があった。
だから本当に (園長が)やりたい仕事だったのかは、昔は分からんかった。

仕事って、やってみないことにはという部分が大きいし、就いてみて初めて楽しさが分かるようなことが多いと思う。 

でも、最初は嫌やったねぇ。園長の仕事というより幼稚園自体に慣れるまでが。 やっぱり女性の職場やからね。意識の差ができる。三年経ってようやく馴染んできたかな。 

うん、でも子供はずっと好きやったな。 いまは一緒に活動するってこともあんまりなくなったけど。昔はずっと、遊んでたから。 この仕事をやる上で最低条件やからね。子供が好きってことは。 

 

鶏の足は何本?


―園長先生の夢を教えてください。

夢なぁ。何が夢かと問われると……。歳も53やし。 
いつまでも夢を追い詰めることがこれからの人生楽しいのかもしれないけど。 仕事の中での夢は、子供たちが健やかに育ってくれること。 夢という程のことではないかもしれないけど。いちばんの大きな目標ではある。 
園長というのは、子どもたちに夢を与えられる仕事やと思うし。 子どもたちには幸せになってほしい。 


―子どもたちって、いつ幸せを感じてるんでしょうか? 

幼稚園が楽しいとか、友達と一緒に遊ぶのが楽しいとか。やっぱり人と人との繋がりなんかなぁ、と。

一人で遊ぶのではなく、幼稚園というのは団体生活やから。
その中でたくさんの友達を作って、たくさんのルールを守る。そんなことを学ぶのが幼稚園での勉強やと思う。
「子どもたちが幼稚園へ楽しそうに行く」ということは保護者の方も喜びはる。僕たちもそれを実現したい。だから、子どもたちの幸せも保護者の幸せも職員の幸せも繋がっているんじゃないかな。

普通、学生さんとかやったら、こういう大人になりたいとか、こういう仕事をしたいとかあるでしょう? 子どもたちだって同じ。ケーキ屋さんになりたいとか、お花屋さんになりたいとか。 
でも、僕はもうなってしまっているから。幼稚園の園長に。 
だから何になりたいとか、将来に向けて「あーなりたい」「こーなりたい」と問われると難しいね。


―この仕事をやっていて良かったなと思うことを教えてください。

小さな子どもからはエネルギーをもらえる。そこでこの仕事の楽しさに気付けた。 子どもっていうのは大人にはない発想をするでしょう。そういうのは初々しくていい。 気持ちが正直やから。大人が忘れがちなことを日々発見させてもらえる。 

例えば畑で作物を採ってるとき「大根がどういう風になっているのか?」って大人なら分かるやんか。 でも、子どもっていうのは見ること見ることがすべて新鮮やから。

「あぁ~、大根ってこうなってるんや」「イモって土から掘らんと出てこんのや」とかね。 こっちが当たり前に思っていることが、子どもたちは当たり前じゃないから。 そこで喜んでくれるというのが、この仕事の達成感になるわな。

そういえばこの前、京大生に「鶏の絵を描け」って言うたら、四本足の鶏を描いたっていう話を聞いてね。 そういうのって、日ごろから経験ないことが原因やと思う。たくさん経験を積ましてやるっていうのがやっぱり大事やなと。

 

 

理想とニーズと葛藤


―これから幼稚園をどのようにしたいですか?

経営の話になるとなかなか難しい。少子化になってるし、理想ばっかりは追求でいないところもある。そういうニーズに答えていかなくてはダメだし。その辺の葛藤はあるね。 

―では難しい話は抜きにして、純粋な理想を教えてください。

やっぱりね、幼稚園というところは、親も楽しんでもらいたい。
保育園は共働きで子どもを見られないから預けている場合が多い。でも幼稚園と言うのは教育の場やから、親も参加してほしい。親も一緒に成長してもらう、という場所になってほしいから。 だからこそ親の交流の場も設けている。

初めて子どもを(幼稚園に)連れてくる親もいれば、二人目三人目がいるベテランのお母さんが来ることもあるし。そこで、保護者同士コミュニケーションを取る機会があれば、子育てについて学びもあるかもしれへん。 


 

親子で楽しみ、親子で学んでもらう


―幼稚園が保護者同士の交流の場を提供してくれるのは、有難いことですね。

こないだコーラスの発表会があって。あれもお母さんの交流の場やね。発表会に向けて集まって練習して、クラブ活動みたいに。
他にもバレーボールの大会もあるし。 こないだなんかは、バザーに向けていっぱい小物を作ってはった。 

うちの園舎には、「お母さんの部屋」というスペースがあって。
お母さんが幼稚園に来て何か活動できればという思いから、その場所を設けている。 だから、お母さんにもいっぱい友達作ってほしい。幼稚園は誰にとっても、楽しい場所であって欲しいから。
お母さん同士の仲がいいと、その子どもたちも一緒に遊ぶことが増えるし、イベントごととも楽しめる。 

昔なんか、子どもが多い時代で言ったら、近所や町内での繋がりと言うのはもっとあったと思うねんけど。いまは少子化になってきて、近所の関わり合いも減ってきている。 こんな時代だからこそ子供を通じて、親が友達になるという機会を幼稚園が提供したい。


―保護者の方々と一緒に、飲み会をされているとお伺いしましたが? 

そうそう。ちょっと前に父親の会を立ち上げて。その父親の会で集まってね。もう二回ぐらいやってるかな。

ほんの2、30年前までは、子育ては母親一人でやっていくという時代やった。 ところが時代が変わってきて。最近はお父さんが結構行事に参加される機会が多くなって。 お父さんの発想で子どもを育てていくってことも重視されているから。父親も幼稚園に参加してもらえるようにと思い発足した。 

子どもだけが幼稚園で楽しむのではない。一緒に親も楽しんでほしいし、一緒に学んでほしい。 親子で楽しんでもらい、親子で学んでもらうというのが幼稚園かなと思う。

 

遊び心を持ちながら仕事をしたい


―ブログで見たんですが、九月にたこ焼きパーティ開かれたそうですね? 

うん。それも父親の会を中心にして。親御さん全員呼んだらえらいことになるから。 とりあえず父親の会で輪を広げよかということで。 
結構盛り上がったよ。どんなたこ焼きがおいしいんかとか。 チーズ入れたり、ソーセージ入れたり。 
あとは丁度プチトマトがあったから、たこ焼きの中にプチトマト入れてね、イタリアン風たこ焼きとかね(笑) 


―楽しそうですね。 

やっぱり遊びやね。遊び心を持ちながら仕事をしたいな。いつまでも。それが夢かな。 当たり前のことに流されるんやなく。楽しいことを発見して、それを子供たちに教えてやりたい。 


 

ふとした瞬間に幼稚園の頃を思い出す


―最近で一番うれしかったことを教えてください。

最近で言うと、中途で入園した子がいてね。その子はお母さんから離れられず、ぐずぐず一週間くらい泣いてたんよ。 
この前、その子が幼稚園に行きたいって言ってくれた。ちゃんと朝も「おはようございます」って挨拶してくれるようになったし。やっぱり目に見える成長と言うのは嬉しいわな。

まぁ、僕自身マラソンとか出たりしていて。何かに挑戦をしたいって意識が強い。 そんなこともあって、うちの幼稚園では大文字登山を企画してる。 

こないだ年長の子たちと一緒に登ったけど結構しんどいね。子供の足で四十分くらいかかるんよ。汗びっしょりになりながら、「まだかな、まだかな」って。 
最後はなが~い階段が待ってて、「まだ~」って子どもたちも肩を落としてたわ。 「ほな、階段の数を数えよ」言うて。みんなで何段あるか数えたんやけど……。もうね、みんなバラバラ(笑) 途中で抜かしてる子とかもおったりして。 
そんな感じで、励まし合いながら登った先では、凄い景色がいいのね。 

僕はマラソンで42.195km走ることもあります。それはやっぱり、しんどいけど走り終えた達成感っていうのは素晴らしいものがあるから。
それを短い時間の中で学んでほしいなぁ、と。 
「しんどい思いをして登ったら、凄いきれいな景色が見える」なんてのもいいかなぁ、面白いかなぁって。 
ご褒美って、ものだけじゃないのよね。大切なのは心の豊かさ。 

幼稚での思い出っていうのは、大人になってもふとした瞬間に思い出すことがある。 やっぱり思い出に残るような保育をしたい。 幼稚園で何をしたか覚えてないようでは寂しい。 
やっぱり、あんなことして楽しかったなぁっていう思い出を、ね。 

基本情報

病院・施設名
清水台幼稚園 (教育)
小学校区
勧修小学校  
中学校区
勧修中学校  
住所
〒607-8239 京都府京都市山科区勧修寺丸山町1-126
電話番号
075-592-6052
FAX
075-592-6070
URL
WEBサイトへ
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