ブログ
不動産売却を行うと住民税はどうなるの? 計算方法を解説します
不動産売却を行う際に気になるのが、譲渡所得にかかる税金ですよね。せっかく手に入れた費用の一部を税金として納めなければならないため、事前にどれくらいかかるか知りたい方もいるでしょう。本記事では、不動産売却に伴う所得税・住民税の計算方法について詳しく説明します。それぞれどのように計算するのか、参考にしてください。
1. 所得税・住民税は「譲渡所得税」という枠組みで課税されます
所得税や住民税といえば、給料や報酬など収入に課税される税金をイメージするかもしれません。これらの税金には、稼ぐ分だけ税金が増える「累進課税」が適用されています。
一方、不動産売却によって得たお金は、他の所得とは別に計算する「分離課税」が適用され、譲渡所得税という枠組みで以下の3つの項目に分けて課税されます。
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
※令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%が所得税と併せて申告・納付されます。
2. 各種税金の計算方法
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)は、以下の式で計算した「譲渡所得課税額」に税率をかけて計算します。
【譲渡所得課税額の計算式】
不動産売却で得た費用-(不動産取得時にかかった費用+売却のためにかかった費用)
譲渡所得課税額をもとに、所得税・住民税・復興特別所得税を計算します。このとき、各種税金にかかる税率は、不動産を取得してからの期間によって以下のように変わります。
【譲渡所得税の税率】
- 短期譲渡所得(5年以下の不動産):所得税30.63%、住民税9%、復興特別所得税2.1%
- 長期譲渡所得(5年超の不動産):所得税15.315%、住民税5%、復興特別所得税2.1%
3. 譲渡所得税の計算例
以下の条件で、それぞれの税額を計算してみましょう。
【条件】
不動産の取得期間:4年
不動産売却によって計算した譲渡所得課税額:1,000万円
取得期間が4年なので、短期譲渡所得の税率で計算します。
【所得税】
1,000万円 × 30.63% = 306万3千円
【住民税】
1,000万円 × 9% = 90万円
【復興特別所得税】
1,000万円 × 2.1% = 21万円
以上より、譲渡所得税の合計は417万3千円となります。所得税・復興特別所得税は確定申告時に支払いますが、住民税は納付書が送られてきます。支払い方法が異なることを覚えておきましょう。
4. 特別控除や特例を知っておくと税額がお得に
前述した税金を見て、「税金が高すぎる!」と感じた方もいるでしょう。国が定める節税対策として「特別控除」「特例」が設けられています。以下に示す特別控除・特例は、それぞれ譲渡所得課税額を下げるお得な制度です。場合によっては税額をゼロにできることもありますので、自身の条件に当てはまる特別控除・特例を利用してください。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産売却を行う際には、住民税だけでなく、所得税や復興特別所得税も支払う必要があります。不動産を取得して経過した期間や税金の種類によって税率が変化します。また、節税効果のある特別控除・特例も用意されているため、どれくらいの税金がかかるのか事前に把握しておくことが大切です。不動産売却を検討する際の参考にしてください。